12月15日発行旬刊宮崎スポーツ

本県出身選手に注目 箱根大学駅伝大会

 正月二日と三日に開催される箱根大学駅伝大会で、本県出身選手四人がエントリーされそうで、県ン愛のファンに夢を与えそうだ。宮崎日大出身二人が明治大で、小林高出身二人が筑波大と東洋大で茶の間のテレビを大きくわかせそう。

 

 今回も注目されているのが、東洋大四年の今西駿介選手。小林高では三年連続都大路を走った。一年時五区を区間六位。翌年は三区を区間四位で留学生以外ではトップ。中継して密集地を抜け出し二十二人を抜いてチームを五位に導いた。

 

 三年時も三区の長丁場で六位で走り連続五位に輝いた。その走りは父俊郎氏(五七)にゆずりで、父は九州大会(高原畜産高)、旭化成で三年間を走り、東京農大へ進み箱根駅伝を一度経験した。「箱根を走りたい」の夢は二年生に実り、六区(復路一区)を五位で、二位の総合成績に貢献。昨年も六区で区間三位総合三位。下り坂に走り方に進歩を見せたのか、テレビ解説者は「べた褒め」だった。今年になって春先三ヵ月程体調が悪く走れなかったが、夏から練習に参加して十月の出雲駅伝と十一月の大学選手権(伊勢市)と短い区間ながらいずれも区間二位と健脚を見せた。二、三年生に優秀な選手が多い中で、今回も六区が予想され、実家の高原町周辺では話題の頂点になっている。今西選手は昨年までスイスと中国に陸連から派遣されてクロスカントリーで外国人選手らと走った。全国高校駅伝七度優勝の名門のこの数年第一線で走るOBがいなくなり、同選手の活躍は小林高関係者以外でも気になるところ。また、大土手選手が筑波大の主将として出番が予想されている。

ソフトバンクJに選出 三股ブルースカイの田上君

 プロ野球ソフトバンクホークスのジュニアチームに、三股ブルースカイの田上賢芯捕手が、十六人の枠に選ばれ、大きな夢を抱いて全国大会に備えている。毎年八月に全球団は周囲の都道府県の少年野球選手を募り、九月末の第四次試験まで実技を行い決定する。ソフトバンクは今年も八百人の中から厳しい試験から選考され、十月には、試験会場だった筑紫野市の二軍練習場に毎週土・日、練習や紅白戦などをして調整してきた。大会は二十七日から三日間札幌ドームで開催され、トーナメントから四強を残してリーグ戦に入って日本一を決める。

 

 中には硬球を握ってプレーしている少年もいるが、軟球で一二〇㌔の快速球を投げる投手、八十㍍以上飛ばす打者も多く、非常に精度の高い選手も多い。また今大会のOBでは西武J出身の西武の森捕手、中日ジュニア出身の中日根尾内野手が活躍中。本県出身では、四年前の都城今町小の植村太陽投手(現ウルスラ)以来二人目。

 

 田上捕手は三股町梶山小六年生で一年の終わりごろにブルースカイに入団。腕力と脚力は天性のものがあり、三年生になったら捕手と中心打者で活躍。五年生で不動の四番打者で県内のチームからマークされるようになった。今は一六〇㌢、七四㌔とがっちりなり、今季は全試合で五割五分の打率を残し、ホームランも五本以上の量産。捉え方が良く強引に引っ張るわけではなく、右打ちでも左翼へも長打を放ち、敬遠の四球も多い。十一月の県学童大会の地区決勝戦でも申告敬遠されるなど相手チームは非常に頭を痛めてきた。また相手同士でも先頭打者が田上君なら歩かせたり、満塁で出てきたりした時も歩かせるなど、勝負を避けるときも多かった。

 

 九州から選ばれた強打者が多い中で中軸を任されるのは確実だが、ソフトバンク出身の新垣渚監督(沖縄出身)の期待にどこまで応えられるか年末は楽しみな大会となりそう。

12月5日発行旬刊宮崎スポーツ

テゲバジャーロJ昇格ならず

 JFLのFC大阪の試合が、去る二十四日県総合陸上競技場で行われ、一対二の逆転負けでホーム最終戦を白星で飾れなかった。二十九試合目で十一勝十敗八分けで十六チーム中五位が確定。Jリーグ入りを目標に戦ってきた戦力は、Jリーガー経験者は、主将でGKの石井健太、エース水永翔馬(宮崎日大)、橋口拓哉(同)、藤岡浩介(日章学園)、他にも七選手がピッチで躍動してきた。

 この試合も先制点の立役者は橋口で、二分後にPKでゴールされ同点。後半も何度か得点の機会はあったものの終了前にPKから決定的な一点を奪われた。

 開幕時から、四位以内を目標にしてきたが、若い力が今いちの感。三〇歳超えたベテランが中軸で、途中出場が多かった米澤康太(都城工)もゴールを何度か決め地元ファンを喜ばせたが、二四、五歳の若手の奮起も必要。

 今のテゲバに対する県民の注目も熱い。Jリーグを目指していないホンダロックとは全く互角の成績でホンダは六位。

 九州で本県だけがJリーグチームがなく昇格を願っているのは県民。創部五年目で地力は着々と進化しているのは事実だが、昇格の条件で、ホームスタジアムがない。

 そして毎試合二千人以上の観客動員が必要であるが、地元試合で二試合続けて千人以下の観衆で関係者は頭を痛めている。

 毎日の練習は清武競技場や宮崎日大の人工芝のグランドなどだが、新富町に計画されているスタジアムの完成で練習場に不足しないこと、そのスタジアムに毎日ファンを呼べるようなチームになってJリーグ入りするのは、果たして何年先なのか。

 

11月25日発行旬刊宮崎スポーツ

男子は都城工、女子は延学がV バレー全日本高校選手権宮崎大会

 バレーボールの全日本高校選手権宮崎大会の決勝は十七日、県体育館で行われ、男子は都城工が四年連続三十六度目、女子は延岡学園が二年連続十八度目の優勝で一月五日から東京の武蔵野で開催される全国春高大会に出場する。

男子は初優勝を目指す日南振徳が、一、二年主体で高さを誇り名門に挑んだ。全日本高校選抜選手の甲斐孝太郎(一八七㌢)を軸に、滝谷照(一九二)、甲斐優斗(一九〇)が果敢にスパイクを放ち善戦。しかし大事な場面で若さを暴露し、互角に近い流れで、〇対三で都城の高速とコンビバレーに惜敗。

 

 都城工は一年の後半からセッターを経験している中村陽(一七五)の巧さが光った。左利きでライトの京牟礼佑芽(一八〇)が痛み上りからパワーを見せ、夏から成長著しい吉川翔之亮(一八五)がBクイックも打てるようになり攻撃の幅が広くなった。またエース黒木奨輝(一八九)の決定率も増して伝統校らしいこの数年にない戦力になってきた。夏の地元総体では一勝して愛工大名電に少差で敗れたが全国Aクラスの力は秘めている。全国制覇した十年前のチームは、吉岡光大(JT)、長友優麿(FC東京)の超高校級がいたが、今チームはジャンプサーブと強烈なブロックと守りも堅くなり非常に期待されている。バレーのまち都城市民にとって楽しみな正月となりそうだ。

 

 「打倒都商」を念頭に県総体で準Vに甘んじた延岡学園は、レシーブ練習を主に五ヵ月間必死に雪辱の日を追った。都城商に三対〇だったものの負けても不思議でない展開でもあった。第一と三セットは大量にリードされたが、平均一七四・五㌢の全国的な高さを生かして見事な逆転劇を演じた。県中学選抜選手が八人もいて、周囲は勝てないことにブーイングも多かったが、高校選抜代表のエース北林桃佳(一七七)、長友真由(一七六)が注目され、須藤梨乃(一七八)も「負けじ」とエースの意地を見せた。不利になっても声をかけ三選手はコートで挑んだ。ファイターのリベロ柳田愛乃(一五五)は転んでもボールを拾いまくって応援席を歓喜させた。

 

 連続失点も数回あったものの選手たちは要所で精神面の強さも発揮した。総体に続き連続で頂点を目指す都城商は今村沙樹(祝吉)が左右にトスをあげたものの、相手に良く読まれた。早田海央(一七三)、井上裕貴(一七一)、黒木亜衣(一七三)のアタックも二枚ブロックにことごとく跳ね返された。

 

 一セット目に七点もリードしたときは、有利な流れで延長で取られた。一セット目んも大事さを痛感次から主導権を奪うことを誓った選手たちは、三セット目も大量リードをひっくり返された。延岡学園は心技体が成長した証拠か。

11月15日発行旬刊宮崎スポーツ

日章学園が3連覇 全国高校サッカー宮崎大会

 全国高校サッカー選手権宮崎大会は、四日に終了し日章学園が三連覇を果たし、十二月三十日から東京首都圏で開かれる全国大会へ十五度目の出場となった。

 

 同校は今大会五試合とも無失点の完封勝ち。そしてこの三年間県内の公式戦で無敗が続き、今後も県内でどこまで白星街道が続くかも県民の楽しみとなっている。かといってチーム力は例年通りと言ってもさしつかえない。Jリーグに入る選手や超高校級選手がいるわけでもなく、附属中時代から長年プレーして選手同士の気心も知りチームワークが良い。総合力で全国中学大会出場の地力がそのままで、「県内では勝って当然」とまで言われている。九州八県の上位校十校が参戦する九州プリンスリーグでは四位。まだリーグ戦は終了していないが決して強烈な印象は今いちか。

 

 基本であるディフェンスの堅さは伝統的。DF後藤翔(太陽宮崎)と二年古賀照也(サガン鳥栖)の守りは堅く無失点試合の代名詞となっている。一年のMF葭岡遥来(太陽延岡)が相手ボールの芽をつんですぐ転回するプレーは油断ならない。木脇蓮苑(木之川内)も一年ながら先発出場で巧くつなぐFW。守りになってもほとんどの選手が身体を張ってボール際のプレーも申し分なく、点取り屋は、今大会十得点の鈴木陽介(穂北)で頼りの背番号十番。

 

 県内のサッカーに注目するファンは多い。この五年社会人と大学のサッカーまたは高校大会でも会場に足を運ぶファンは多くなってきた。日章学園に対しても一貫教育六年間で選手たちはどこまで成長するかではあるが、上京して一、二勝では納得できない。「八強以上」の声が圧倒的で、本県代表が再び全国一になれるのはいつなのか。日章学園に対する期待ははかり知れない。

 

旭化成がV2 九州実業団駅伝大会

 九州実業団駅伝は四日北九州で開催され、七区間八十㌔を旭化成が大会新で二連覇した。 二十三チーム中上位八チームは元旦の群馬県でのニューイヤー駅伝に出場する。旭化成は、一区黒崎播磨に七秒遅れ二位。二区で外国人が離され、三区はやや追い込み四区も再び離された。

 

 しかし五区で区間新で首位を奪って、六区と最終区で区間新で堂々の優勝。予想どおりの勝ち方で元旦の全日本実業団で連覇への希望が大きくなった。

 

 駅伝旭化成の伝統は輝かしい。実業団、朝日、中国の国内三大駅伝で六年間負けなしの十八連覇は陸連史に刻まれている。昭和五十八年の元旦に二位になり選手たちはゴール付近で大泣きした。あの宗兄弟を軸に佐藤市雄、児玉泰輔たちが中心で陸上王国をほしいままにした。その後も勝ったり負けたりだったが、この一、二年の顔ぶれを考えると、また「黄金期に入った」と言って良し。

11月5日発行旬刊宮崎スポーツ

本県から2人指名 プロ野球ドラフト会議

 十月十七日夕方から東京都内で行われたプロ野球ドラフト会議で、本県からは二人が指名され入団への運びとなっている。都城東の武藤敦貴投手兼外野手(福岡)が東北楽天に四位指名。日章学園の平野大和投手兼外野手(附属中)がオリックスの育成四位。指名を心待ちにしていた宮崎産経大の杉尾剛士投手(宮崎日大)は指名されず二年後に希望をかける。国学院の横山楓投手(宮崎学園)も見送られた。宮崎第一の川島隆士投手(清武)は志望届けせず社会人のJR九州へ入る。

 

 都城東の武藤選手は、公式戦九本塁打と練習試合約二十本塁打、投手もしていて強肩。五十㍍六秒の俊足という三拍子が評価されていた。五月末の時点でほぼ全球団が学校に連絡していた。そのうち五、六の球団はドラフト前に電話連絡していた。ドラフト当日の午後五時半に学校に楽天から指名の電話が来たときは、理事長室にテレビ局が四局、新聞社など三十人近い報道陣が集まっていた。清水理事長、ブライアン校長、河野譲次監督(国士舘)、武藤選手がガッツポーズで歓んだ。一週間後に楽天のスカウト二人が学校に訪れ、指名のあいさつ。今月中に契約になる予定。

 

 同選手は北九州八幡東区の出身で、中学で公式野球に励んだ。一七七㌢の左腕は入学したころから投手と主砲でチームの軸。一年秋は九州大会に出場して九州学院(熊本第一代表)を完封勝ち。もう一勝というところでセンバツ出場を逃したが、当時からプロ側は追っかけていた。通算打率も四割前後で、捉え方がうまく、北九州遠征で一三〇㍍余りの大飛打もあった。入団して即戦力は厳しいが、体重が七〇㌔と細すぎることで金属バットから木製になるため、二、三年はかかると考えられる。先輩には今季ドラフト一位の辰巳涼介(二三)、オコエ瑠偉(二二)といった外野手もいることで甘くはない。河野監督も「下でプロらしい身体をつけること」と手厳しい注文。

 

 本県高校野球界から打者として即プロ入りは、平成に入って井出、赤田、甲斐、小幡以来五人目。強化して二十年になる都城東は、九州大会三度出場、春とNHK杯で頂点になったものの、未だ甲子園出場は実現していない。

女子は小林、男子は日大がV 全国高校駅伝県予選

 全国高校駅伝の県予選は、二十七日西都市の公認コースで行われ、午前中に女子があって、小林、宮崎日大、都城商業と続き、五区間とも区間賞の小林は六年ぶり全国大会へ。男子は宮崎日大が二連覇し、小林、都城工と去年と同じ。男女合わせた計三校は十六日宇佐市での全九州大会にコマを進める。

 

 男子は全国大会が七十回と記念大会とあって、二、三位校は全九州で北部四県、南部四県で一位校を除く一位になれば全国大会への切符を手にできる。雪辱を誓っていた男子小林は予想以上に善戦し宮崎日大に一分〇二秒の差。一区十一秒で中継。二区の高木晃瑠(人吉第二)が差を縮めた。三区が区間賞で五秒差に。九嶋恵舜主将(高原)がトップに並ぶと、終盤で離された。福島渉太(福岡)もやや遅れ六区でまた遅れたが、アンカーが区間を出したものの力尽きた。

 

 伝統校も二連敗したことで雰囲気の暗い結果だったが、全九州で沖、鹿、熊、宮の四県の中で、一位校以外で一位になれば二年ぶりの都大路出場にはなる。巻き返しに西諸地区のファンは大きな希望をつないでいる。

 

10月25日発行旬刊宮崎スポーツ

日本中がラグビーに夢中 リーグで活躍する本県出身者にも注目

 ラグビーのWカップが国内開催中で、ニッポンが初の決勝トーナメント進出も手伝い、話題はラグビーに集中している。

 

 そんな中で九州の強豪でトップリーグのサニックス・コカコーラウエスト・チャレンジリーグ上位の九電も県内のファンから注目を集めている。郷土出身選手が数人いるとあって関係者には非常に気になるところ。トップリーグから落ちて六年経過している九電は本県とも距離が近く、年に数回ラグビー教室に訪れ指導。少年ラガーに夢を贈っている。

 

 ベテラン井上貴博(三四)は、高鍋と福岡大でプレーしフランカーとして活躍。児玉大輔(三〇)は日向と流通経済大でSHとしてチームの柱。磯田泰成(二七)は延岡星雲と帝京大でウイング。大学日本一のトライ王にも輝き九州に戻ってきた。また、高鍋で三年連続花園へ出場した黒木健人(二五)は、本県出身では二十数年ぶりに早大に入りWのマークをつけ一年から時々リーグ戦に出場。四年生時は副主将としてセンターを守ったりBKに回ったり闘志満々タックルは鋭く切れがあった。今でも一七八㌢、八五㌔の体格をフルに生かして九電の若きリーダーになっている。高校時代春の選抜で主将として初出場も黒木の力量そのものだった。

 

 外国人選手三人が今春五年ぶりに加入、十一月上旬の開幕のリーグ戦に向かっている。上位二位以上になるとトップリーグ下位二チームと入れ替え戦があり、今季はかなり希望がもてる。高鍋で黒木選手たちを指導した山本巧監督(現都城工)は「本県出身選手のプレーは毎日祈るばかり」と期待を寄せている。

九州出身の名力士 人気力士から横綱まで多数

 大相撲界で九州が生んだ名力士は少なくない。二一三㌢の関脇不動岩と一七〇㌢の小結智ノ花は熊本県出身で巨漢、小兵力士だった。横綱なら大分県の双葉山、一場所十一日制で二場所時代に六十九連勝と十二度の優勝は今でも語り継がれている。鹿児島県徳之島の朝潮は六場所制になって五度の優勝。巨体で男性的なマスクで胸毛も濃く人気力士だった。

 

 長崎の五島出身の佐田の山は六度の優勝で柏鵬時代にやや影が薄かったが、理事長を長年務め活躍した。大関は佐賀県の大麒麟がいた。優勝経験はないが前さばきがうまく横綱柏戸に強かったが、ここ一番で硬くなりすぎた。若嶋津は鹿児島種子島出身で樟南高校時代に茨城国体でV。一二〇㌔の細い身体で二度優勝。翌場所はいずれも大敗で網を張れなかった。同郷出身の歌手高田みづえと結婚して話題をまいた。同じく霧島市の霧島は同期の若嶋津が引退して四年目の三一歳で大関。優勝は一度ながらも美男子で女性ファンに人気があり陥落後幕内で四年連続続け、筋肉の身体は見事だった。

 

 大分県の千代大海は一九歳で新十両。荒々しい突っ張りで優勝三度。福岡は魁皇で五度の優勝と通算千勝は記憶に新しい。琴奨菊は現在幕内で頑張って一度の優勝はがぶり寄りだった。熊本県では栃光で優勝は無し。

狭い球場でHR連発 球児にも設備を

 秋の高校野球で今年もひむか球場を使用させられたことで不満が募っている。四十四試合中二十試合が行われ九本塁打が出た。両翼九十二㍍で狭く、どこの監督もいやがる球場だ。

 

 ポンと飛び出す本塁打で流れが急変し、優勢だったチームが負けることが今回も多かった。期待もしていない下位打順の打者が平凡な外野フライと思われても、潮風に乗ってスタンドへ。球児たちにとってセンバツへつながる大会なのに「広い球場で」と声も続いている。

 

 県内はフェニックスリーグのために他の球場は使用させない。プロのための設備でなく、高校野球界のためにも来年の秋は県営やアイビーなどを使用すべきだ。

10月15日発行旬刊宮崎スポーツ

春日国勇太が引退 県内ファン「ご苦労様」

 大相撲郷土出身の三段目春日国勇太が、秋場所を最後に引退した。本名安富勇太は、小林市堤地区出身で「安富四兄弟」で体格が良く律儀正しい野球少年だった。上三人は三松中と日章学園で強打者で鳴らし、春日国は次男。日章学園の大型捕手と主砲でプレーした。一八〇㌢、九五㌔だった身体で平成十二年三月場所に角界入り。背中をまるめての突きと押しで距離をとって前へ出る取り口は次々と勝ち上がり、満三年で幕入りした。県内のファンは「行ける」と十両入りを確信したもの。やや厳しい場所が続いたものの、三十一年初場所幕下五枚目で六勝一敗。四度目の十両圏内場所だったが、十両から陥落力士が二人だったため十両入りを見送られた。幕下全力士五百人以上いる中で最高位東幕下筆頭になった。

 

 当時地元のファンから「小林の星」と呼ばれるようになり声援は続いたが、十月三十日で満三十八歳になる。残念な気持ちは春日国本人が一番悔しいが、県内のファンはもっと寂しくなった。十年前は、元大関大受に似た取り口で一六〇㌔と重くて柔らかい腰は絶対幕内に昇進とまで期待は大きかった。一門の横綱白鵬の付け人でも活躍し花道の奥で元気な姿が茶の間のテレビで良く出ていた。長年の土俵生活に西諸地区でも「ごくろうさん」の声が出ている。

富島・宮崎日大が九州大会へ 目指すは両校共に「センバツ」

 九州高校野球の県予選は、六日までにひむか球場で開幕。その結果富島が秋は三度目の出場を決め、宮崎日大が十三度目を決め、十九日から佐賀県で開催される九州大会へ出場する。

 

 優勝した富島は二度目のセンバツをめざし、宮崎日大は初のセンバツをめざす。第一代表の富島は攻守にまとまり不安なく勝ち上がった。初戦から三試合完封の富井大輝(西階)の右腕がうなった。準決勝の都城商戦に二失点したものの決勝の宮崎日大戦も六回から封じた。一三〇㌔の直球は、コースを出し入れするのが巧く、低めもギリギリのストライクをとった。そして直球と変わらない速度のスライダーは、角度は少なくバットの芯をはずした。安定感なら九州大会でも期待される。攻撃陣もすごい。九人中六人が左打者で足も速い選手が多く、どの試合も三、四個の盗塁を成功させている。切り込み隊長一番の高橋信人(門川)は打っても六割以上で走っても盗塁の失敗がない。二番からも好打者が続きどこからでも攻撃ができるのが強み。また決勝でまずますの力投をした坂本龍太郎(財光寺)は、保守でも大型の強肩で守りも全体的に鍛えられている。この数年、県内上位の成績を残している富島に「黄金時代」がやってきたと言って良し。

 

 今大会で注目されたのは、宮崎北の活躍。延岡学園、日南学園などを破って準決勝へ。あと一勝したら初の九州大会だったが宮崎日大に一対六で涙。悔しがったのは「父子鷹」の、兒玉正剛監督(五四)と一番で中堅手の兒玉大成(生目)。俊足巧打の大成選手は、幼い頃から父子で甲子園を夢みて練習に励んだ。そしてチャンスが来たのがこの秋だった。勝利の女神は立ち上がりから相手校に傾き、また四打席無安打の大成選手の不振もあって苦敗。実力の差ははっきりして試合後はあっさりとした表情さえしていた。

 

 なかなか上位進出がない進学校だが、チャンスを生かすことなくオフを迎える。同校は夏の準優勝はあっても九州大会と甲子園はなく宮崎市内の進学校では唯一。父正剛監督は七年前、宮崎西を一般選考でセンバツ出場させた名将で、来春から理事長就任が予想され現場を離れることになるかもしれない。

10月5日発行旬刊宮崎スポーツ

本県出身プロ野球2投手が新旧交代

 プロ野球郷土出身の二投手の新旧交代で、県民に夢と感動を贈った、巨人の新人戸郷翔征投手(一九)が、九月二十一日DENA戦に初登板の初先発で四回三分の二を被安打四失点二でゲームをつくった。三回に先制の二ホームランを打たれたものの一五〇㌔の球威のある速球は三振も四個奪って将来性ある投球を見せた。試合は延長十回三対二で巨人が勝手セの優勝も決めた大事な試合でもあった。万一味方打線が序盤から打っていたら初勝利も考えられたが、その夢はプレーオフシリーズへ持越しとなった。

 

 同投手は都城の妻ヶ丘中・聖心ウルスラの出身で一八六㌢の右腕。腕も長く斜めから繰り出される直球は左右に分けて、二軍でも好投が続き、フレッシュオールスター戦にも選ばれた。高二の夏に甲子園で一勝してプロは注目していたが、ドラフト七十番目位(六位)の氏名には周囲はややショックを受けての入団だった。しかし能力は高くそのまま成長すれば、「巨人の星」になりかねない大器。

 

 八月下旬ヤクルトの寺原投手(三六)が、現役引退を表明し、たくさんの報道陣に囲まれ涙をこらえた。宮崎市の赤江東中時代から本格派の右腕投手で鳴らし、日南学園でさらに速球を磨いた。平成十二年春にサンマリン球場の開場記念招待試合で一五四㌔を計時。スタンドをうならせたもの。夏の甲子園で準々決勝進出の原動力になって、当時高校生投手にいなかった球速一五〇㌔余りを何十球も投じて人気投手になった。

 

 一七九㌢の剛腕をダイエーの王監督が学校に直接訪れたのも有名。三年目から先発にローテに加わったものの、六・七回頃に打たれることも多く、第一エースやタイトル獲得はなく、負けが勝ちより多かった。十八年間延べ五球団で通算七十三勝八十一敗。県内出身投手では、北別府、清、柳田、黒木智に次ぐ五番目の勝ち星で今後は指導者として注目されている。

 

高校ラグビー花園予選開幕

 高校ラグビー花園予選は、八日抽選が行われ二十六日から木花の県ラグビー場で開幕する。決勝は十一月十日で優勝校は年末、東大阪市の全国大会に出場する。

 

 今年も第一シードは高鍋で強さはダントツ。速攻は伝統だがFW陣が昨年よりやや弱い。新人と総体も相手にトライを許さず今大会も完封勝ちが予想されている。

 

日向、延岡星雲、延岡工の順でシードされてはいるが、昨年決勝で高鍋に夢のトライを果たした都城工のプレーがみもの。どこのパートに入るかだが、三校シードと力は互角で、どこかで高鍋と対戦できるのは必至の状況。今年に入って一番少ない点差で負けているのが強みか。「夢のトライ」とこの一年高鍋戦を目標にしてきた都城工は「これでもか」の合言葉で練習を重ねてきた。スクラム、タックル、走ってのパス回し、同じ基本練習を一年やってきた。夏休みは鹿児島遠征もやって均整もとれ昨年以上の地力はついてきた。元気で「今年も」と意気上がっているのが、例年倒れ込んでトライしたロックの財部知樹(妻ヶ丘)、ナンバー8で主将の新西史門(西中)がリードして皆に声をかける。俊足でタックルに成長を見せる田中稜雅(妻ヶ丘)はさらに突破力がついている。集大成のすべてに高鍋戦を楽しみにしているが、入学してラグビーを始めた立野佑享(庄内)は、身体がしまり、一二〇㌔でプロックで自信もついてきた。何より練習で歯を食いしばった結果だ。校内でも人気者。都工OB会も日ごろから声をかけているが、高鍋戦では「必ずトライを」と、後輩たちに大きな期待をよせている。

9月25日発行旬刊宮崎スポーツ

本県出身スカウトマンに注目

 プロ野球のスカウトで、県内出身者の活躍は少なくない。ヤクルトの鳥原公二(宮商卒)、巨人の益田明典(都城西卒)、日ハムの黒木純司(延岡学園卒)、オリックスの前監督福良淳一(延岡工卒)の各氏はこの三、四十年県内の球場を見て回り、関係者と交流もあった。それぞれ四氏は実家も県内で、オフの間も帰省しいろんな情報をもらっていた。

 

 中でも鳥原スカウトは国富町出身で、帰省したら滞在時間も長く、高校時代の友達らと盛んに飲み歩いたこともあった。同氏は昭和四十八年に卒業して社会人の東洋紡岩国と日立製作所で力投。右横手投げで左右に揺さぶっての曲球は高校時代から注目されていた。五十二年にドラフト六位でヤクルト入団。一軍での出番は少なく結果的には九年間で一軍では二十試合の登板で一勝二敗。救援が主で高校の先輩西井哲夫投手(六六)とのリレー登板もあった。同スカウトは初期のころ、津久見の川崎投手を獲得し、高校の先輩赤川投手も入団させヤクルトファンを喜ばせたもの。二年前にヤクルトを退職し、東京の練馬区で元気にやっている。

 

 巨人の益田スカウトは愛知学院で左の技巧派投手で鳴らし、日本大学にも選ばれた逸材。ドラフト上位候補だったが巨人は五位指名。スピード不足は否めず現役五年間で数試合の登板だけだった。しかし即スカウトに転向し、小倉の読売新聞ビルに住み九州担当として郷土入りしていた。都城市庄内町でも良く昔の仲間が集まっていて巨人の情報を教えたりしていた。数年後に関西と四国担当になり、上原投手(大阪体大)を入団させたのは語り草。

9月15日発行旬刊宮崎スポーツ

郷土出身コーチ&選手に期待 全日本男子バレー

 来年の東京五輪出場が決定しているバレーの全日本男子が八月下旬四泊五日で薩摩川内市で合宿を行い、最後の二日間中国と親善試合をして一勝一敗で終了した。

 

 県民にとって気になるのは郷土出身選手であるが、中垣内裕一監督(五三)のもとで、守りのコーチ津曲勝利氏(四四)は、今回も元気に指導。四総体で都城工のライトエースで活躍し三位入賞に貢献。鹿屋体育大と三好病院(大分)を経てサントリーへ入社。リベロでプレーしプレミアリーグ五連覇に、そして北京五輪出場には、超美技でテレビの前のファンを驚かせたもので「リベロの津曲」は、全日本には欠かすことができず、このまま五輪のスタッフには残る予定で活躍の指導は大いに見もの。

 

 選手にも注目。李博選手(二八)。日向学院から筑波大へ進学。一九四㌢の高さはセンターでプレー。東レに入ってさらにミドルブロッカーは成長しメンバーから離れなかった。しかしこの一年試合に出たり出なかったりの状態。十三日開幕したイランでのアジア大会、十月一日開幕(日本)のワールドカップは、選手十四人だが、五輪は十二人になるとあって、同選手のメンバー入りは微妙。この二大会でよほどの活躍がないかぎり、五輪で日の丸をつけることは難しい。日向学院の恩師、中馬義郎監督(五四)は「いつも気にしていますが、十二人枠に入れることを祈っています」と話してはいるが、バレーの都市宮崎県にとっても李博選手の五輪出場は重要な気がかりと言える。

秋の九州高校野球県予選開幕

 秋の九州高校野球の県予選は十四日開幕した。フェニックスリーグで、サンマリン、ソッケン、アイビーなどは使用できず、ひむか、天福、久峰、高鍋の四球場で四十六校が来年のセンバツを目指す。上位二校は十月の九州大会(佐賀)へ出場。昨年は日章学園と小林西が九州大会へコマを進め日章学園がセンバツ出場を決めた。シード校は八月の新人ブロック大会で八強を決めて抽選された。県北二シード校では延岡学園が投手力が豊富。聖心ウルスラは打線と投捕ががっちり。

 

 県央は日向学院が勝負強い打撃をすれば、妻は粘り強い守りが定評。大宮は攻守まとまっている。

 

 県南シード都城商は夏の選手が多くプレーに余裕がある。日南学園の以前の「黒潮打線」が復活してきた。小林西は沖縄県出身選手が中心。

 

 シード校以外では高鍋が地元公式出身の二年生が活躍しそう。投手力のある都城東が三回戦で日向学院打線を封じるか。日章学園と富島は総入れ替えをしながら堅い守りで上位をうかがう。夏四強の都城工や好投手のいる都城も油断ならない。

 

 「頑張ります」と、明るく話すのは都城商の中心打者。予選で都城東から十四点を奪い気を良くしている。破壊力のある打線中軸は良くとばす。素振りの練習はピカ一で、落ち着いて自信過剰を避けたら成績は楽しみでAパートの「注意校」か。

9月5日発行旬刊宮崎スポーツ

宮崎サッカーは今年も熱い! ダービーや県リーグなど話題様々

 サッカー界は今年も「熱い」。「宮崎ダービー」で県民の注目を集めていたホンダロック対テゲバジャーロの試合は今季はホンダロックの二勝で、去る二十五日生目サッカー場で行われた試合では、Jリーグを目指すテゲバが一矢報いて対戦成績を一勝二敗にした。

 

 元Jリーガーの水永・藤岡のツートップで戦術を変えたテゲバはやはり厳しかった。しかし後半、切り札の米澤康太(都工卒)を起用したら一分後には決勝のシュートを決めた。ダービーはファンの話題の頂点になっていた。

 

 全国中学大会も、日章学園が九州大会など勝ち上がり全国二連覇を果たせば宮崎日大も三位。両中学は将来へ非常に明るい話題を残した。

 

 高校サッカー界は、県リーグ戦前期が八月で終了し、後期が開幕した。一部から三部まで十校ずつで、それ以外は地域リーグになっているが、各校リーグ十校ずつで九試合。計十八試合をして最後に下位校と上位校で入れ替え戦をする。月二度の日曜日など県内のサッカー場はリーグ戦で選手たちは、三度の公式戦を目指してプレーしている。

 

 去年から三部リーグから地域リーグに降格している都城西も元の二部または三部リーグ復帰を目指している。県総体は初戦で宮崎工と当たり、〇対〇からPK戦になって勝ち、次の小林には一対三で敗れた。「宮工に勝った」と気を良くして三年生は進学準備で勇退し、残り一、二年生は三十八人。数に不足なしでリーダーシップをとるのは主将のDF中村剣太(高城)。ボールを維持するのも巧く大声で指示もする同主将は下級生にも気を配る。試合をつくって諦めないプレーが持ち味で、MF西山竣(祝吉)と森田蒼麻(同)は中学時代から息が合っている。また、去年一年は大会ベスト8も自信になっている。進学校の低迷は県内でも不満が出ているが、リーグ戦で勝ち上がって十月の選手権予選では何とか二勝はしたいところでもある。夏は鹿児島に日帰り試合に行ったものの、補習の夏休みは夕方に時間の練習で暮れた。過去はベスト4に近い8に進出したことも多々あり、市内のサッカー関係者は奮起を期待している。

8月25日発行旬刊宮崎スポーツ

プロスカウトも熱い視線 杉尾投手(宮崎産経大)

 本県大学野球界をわかせ人気を集めた宮崎産経大の杉尾剛投手(宮崎日大)が、プロ側から注目を集めている。一七四㌢右腕は、ビュンビュンとばす剛腕投手ではないが、この三年間の経験は、最速一四七㌔までになり、何しろ変化球が多彩で制球力が良いのが持ち味。カットボールやツーシームはコースぎりぎりに入り遠くへ打球はいかない。ボールの出し入れもうまくカウントが不利になっても全く冷静な投技術は、高校生投手には見られない。その証拠は、初の大学選手権出場となった昨年六月の神宮球場で、優勝候補の創価大(東京)と福井工大(北陸)を連続完投勝利。夢のベスト8まで躍進し、「九州の宮崎産経大」とスタンドをうならせ、スカウト陣も投球を見守った。

 

 杉尾投手は根性と努力の選手で精神力が前向き。身体づくりもうまくケアもしっかりしてきた三年半。一日の生活も勉強と野球が中心で、すべてに文句なしの好投手になっている。器用さに完成度も高く、今年の大学選手権でもプロは早々にと彼を視察。去年より成長した雄姿は、初戦強打の東海大に惜敗したが、スカウト陣の手帳には◎印になっている。

 

 本人は「プロに行きたい」と、側近に話しているなど、正直なところドラフト会議を待っている様子。今のプロは投手は何人いても良い時代で、右の中継ぎが欲しい球団は多々あって、本県大学球界から初のプロ選手が生まれるのは必至の状況になってくる。

 

 同大学は県内の教員になっている卒業生は多い。中でも野球部卒が高校野球の指導者に五、六人いる。創部時から指導している三輪正和監督(五六)は「プロ選手をつくる大学ではありません」と前々から話してはいるが、秋風が吹く今から杉尾投手の話題は日々高まっていきそう。

大学陸上でも活躍 元宮崎工の水久保・木下両選手

 宮崎工陸上部で「仲良しコンビ」で走り合った二人が大学陸上界でも快記録を出している。百㍍の水久保漱至(城西大・三年)と二百㍍の木下裕貴(順天大・同)。両選手は高校時代も全国総体に出場して県内の陸上ファンを歓ばせた。

 

 水久保選手は高校時代十秒五台だったが、大学に入って十秒四九を出して、今春の関東地区大会で十秒四六まで短縮して「第一線」まで残りわずかとなってきた。十秒三を切ることになれば非常に楽しみで日の丸も夢でない。

 

 木下選手は、二十一秒五一が高校時代の持ちタイム。しかし去る十六日に千葉県で開かれた順天堂大主催の大会で二十秒六六を記録して会場をわかせた。あと〇・五秒も早くしたら日本新も見えてくる。二人は県内の大会でも良く帰郷して出場し、ファンから声をかけられている。

 

 郷土出身のスプリンターで大舞台を走った選手は少なくない。昭和四十年に向洋高(現延工)の村田広光氏(故人)が全国総体で百、二百、四百の三冠王に。河野敬二氏(元小林高監督)が百㍍でアジア大会へ。十年前、日高慶一氏(現小学校教諭)が百㍍十秒二九で、世界陸上四百㍍リレーに出場している。

8月5日発行旬刊宮崎スポーツ

都城工で「ラグビー教室」開催

 去る二十八日都城工業グラウンドで、「ラグビー教室」が開催され、二百人の関係者が約三時間炎天下の中プレーを楽しんだ。

 参加したのは都城市スクールの小・中学生六十人、高校生ラガーが四十人、OBや選手の父兄が六十人、その他スタッフが二、三十人で、「教室」は非常に賑やかさと緊張感で全員が暑さを忘れての午前中だった。指導したのは、九電ラグビー部の五人で前日福岡市からやってきた。三人は本県高校出身で磯田泰成選手(二六)。延岡星雲から帝京大へ進み、ウイングでプレー。全日本大学選手権V6に貢献した。

 

 児玉大輔選手(二八)は、日向高で花園出場。県北ではおなじみの名手。千葉の流通経済大でのプレーを認められた。また、黒木健人選手(二四)は高鍋で三年連続花園出場。三拍子整ったプレーで「W」のジャージに感動して活躍した。

 

 九電ラグビーはやや低迷している。トップリーグから離れて七年。チャレンジリーグの上位で戦ってはいるが、上が見えない。「復帰」が目標の九電は今春六年ぶりに外国人選手三人を獲得した。九州ではコカコーラもチャレンジに落ち着いていて、十一月からの三ヵ月あるリーグ戦では優勝を目指して入れ替え戦も突破したところ。選手四十人は日ごろ九電本社で午前中は仕事。午後は車で三十分の所にある専用ラグビー場で四、五時間の練習をして毎日が終わる。

 

 この「教室」を計画した都城工の山本巧監督(四五)は「暑い中にきてもらって感謝してます」と、ラガーが増えて本県レベルの向上を、「いつも祈っています」と、父兄や九電選手と握手して終幕した。

本県から70人が参戦! 全国高校総体陸上競技大会

 全国高校総体の陸上競技大会は、八月四日から沖縄市で開催される。本県からは十五校約七十名のアスリートが出場する。この大舞台は県総体が六位までが、南九州総体(熊、鹿、沖、宮)へコマを進められ、そこで六位までが全国大会へ。どの競技も四県を勝ち上がることは大変で「陸上王国」の若人は夢を持って晴れの舞台のスタートラインにつける。

 

 今年のV候補はやや寂しい予想にはなってはいるが、女子の走り幅跳び、円盤投げ、男子の四〇〇ハードルなどが期待されている。この三年、「陸上の女王」の愛称を受けていた宮崎商の神田あやの(西中)の活躍は目を離せない。西池アスリート倶楽部でトラックを走りまくった一六五㌢は、大会前の調整に目を輝かせている。個人選手五種目以内が限度で、一〇〇㍍、二〇〇㍍、走り幅跳び、四〇〇㍍リレー、一六〇〇㍍リレーも勝ち上がってきた。スタートも反応よくバネのきいた力強い走りは、本県高校陸上界の人気者になっていた。また校内や地区でも有名でよく声をかけられ、性格も非常に明るいアスリートになっている。全国から約三千五百人が集う沖縄市で、神田選手の活躍は県民をわかせそう。

 

悲願の「初勝利」 高城高野球部

 夏の高校野球二日目に高城高が四対一で都城高専に逆転勝ちして「悲願の夏の初勝利」。軟式から硬式変わって十五年目で夢を実現し、旧高城町内では拍手を送る市民が多かった。先発した左の石田優也投手(有水)は技巧派。打たせてとる投手ながら、緊張したのか制球が今いちで二回に先取点を許した。

 

 その後も何とかピンチを重ねたが要所を締めて回は進んだ。そして七、八回に主将で主砲の平内丈一郎捕手(三股)たちが打ち出して二点ずつを挙げて逆転。石川慶人中堅手(祝吉)、中村蓮右翼手(有水)たちは日ごろから評判のクリーンアップで打撃には定評があった。計八安打の打線の援護をもらった石田投手は六安打の完投勝利で感激した表情で球場の外へ出てきた。

 

 ナインのうれしさは格別でお互いに握手して歓び合っていた。同校は二回戦で延岡星雲に〇対二で惜敗したものの投手戦で無失策の熱戦を演じた。今年の活躍は来年以降の後輩たちを勇気づける戦いぶりだった。

7月15日発行旬刊宮崎スポーツ

全国の猛者が都城に集結! 全国高校総体バレー大会

 全国高校総体バレーボール大会は、二十五日から十二日間男女百校が参加して都城で堂々と開幕する。本県同大会は平成四年に続いて二度目で、地元枠を含んで男子都城工、都城東、女子は都城商、延岡学園が切符を手にして出場する。初日から六日間は女子が行われ二日間は小林市でも行われるが、初日に予選グループして、その後決勝トーナメントの抽選。

 

 優勝候補は春優勝の大阪の金蘭会高と東京の下北沢成徳高のよび声が高い。九州では二十年前と同じ大分の東九州龍谷大附属と長崎の九州文化高が上位に近い所にいる。

 

 「バレーのまち都城」で小・中学生選手に大人気の都城商は五年ぶり八度目の登場で、県勢初の八強入りが目標。男子に比べまだ全国版ではないが、松元一太監督(高原出身)は「市民の声援を追い風に」と二度目の大舞台に鼻息は荒い。先発選手の平均身長は一六九㌢と小型。しかし猛練習で培ったプレーは、県大会と九州大会で一セット落としただけ。その攻撃のカギを握るのは、主将でセッターの今村弥沙樹(祝吉)で、自由自在に打ちやすいトスを上げる。自信を持って大声で、井上裕賀(一七一㌢)と早田海央(一七三㌢)らに打たせる。早田は二年生ながら二九〇㌢と最高到着点にパワーもついている。速くどこからでも多彩に攻撃が可能。伝統のレシーブもまずまずで全員が粘り強く諦めない精神も功を奏している。その主役でもある田上叶望(山之口)は反応が素早いレシーブは定評がある。相手のスパイクを来る読みも巧く天性の巧さが心強く周囲の信頼も高い。この数年ではバリエーションが良く、組み合わせ次第では、本県勢初の八強入りの可能性も十分。数日前まで三日間の福岡遠征で、三十セット近い試合をしてさらに力をつけた。残り十日間で調整するが、市民の熱い視線は避けられない情勢となっている。

 

 延岡学園は左右のエースが一七八㌢と一七七㌢と高さはあるが守りのミスを直せば二勝できる力はある。雰囲気にのまれない立ち上がりが問題。

 

 男子都城工は前回三位に近づく戦いは高速バレーで、都城東はキューバ選手の活躍で上位を目指す。

ラグビー教室開催 九電主力選手が指導

 県ラグビー協会は二十八日午前、都城工グラウンドで「ラグビー教室」を開催する。指導するのは九州電力の主力選手三人で、少年ラガーや高校ラガーが県内から百人以上が集まる予定。計画した強化委員の増田十郎氏(八二)は「日頃からラガーが少ない。底辺を拓くこと。また高校が九州大会や花園で勝てない」など不満もあり、県下に呼びかけている。そして「ラグビーを通じて心身を鍛えて多くの仲間をつくってください」と続けている。

 

 指導する一人に、高鍋と早大でプレーした黒木健人(二五)も参加して、走り方、パスの方法、タックルなど色々な基本を指導する予定。同グラウンドを提供する山本巧監督(筑波大)も「ラグビーの素晴らしさを学んでほしい」と、同日は一般の見学も期待されている。

7月5日発行旬刊宮崎スポーツ

例年以上の熱戦か 夏の高校野球宮崎大会

 夏の高校野球宮崎大会は、六日にサンマリン、ソッケンの二球場で開かれ四十九チームの熱戦が期待される。

 昨年の百回記念大会は色々なイベントをしたものの今年は例年通りだが、休養にも一日から三日にして選手たちの健康を徹底する。

 

 第一シードの日章学園は春夏連続の決定的な物はない。三投手は春までは県内で通用したものの日向学院、聖心ウルスラを崩せるか。都城西に投手力が強く四強までは心配。

 

 第二の小林西は第二エースがカギ。鵬翔や延岡学園も実力校で宮崎日大も打線が上がり調子。富島は日南学園と初戦。序盤の最も注目の対戦で、日南学園の「黒潮打線」が爆発したら台風の目になる。同じパートに高鍋で市川翔登主将(妻)のチーム力は厚みを増している。都城東は一昨年の九州大会出場の選手が残っており三回戦までは上がっても、準々で宮崎第一と当たりそう。両校の左投手はプロのスカウト陣が視線を送る。宮崎第一の打線にやや不安で、万一打ちあいになれば都城東か。投手戦で緊迫の熱戦も予想される。

 

 他に前半戦の好カードは都城商と日向学院で勝者が聖心ウルスラ戦だが、都城西、延岡星雲など油断ならないパート。日南が今季力をつけ高鍋との古豪同士も面白い。隣りの佐土原と延岡も楽しみで失策が多い方が負けか。去年聖心ウルスラと互角に戦った都城農二勝を目標で、地元都城東に挑む。宮崎工も三回戦で宮崎第一の胸をかりる。延岡学園が大宮で好カードで、八度優勝の都城が宮崎日大にどこまで善戦するか。

 

 今年は例年以上の戦国時代だが、上位候補に明るい話題もなく甲子園では苦戦が予想される。

6月25日発行旬刊宮崎スポーツ

都城東バレーに「黄信号」 9月以降2留学生が不在に

 高校バレーの人気校になっている都城東バレーに「黄信号」が点灯している。地区のファンや関係者のショックは隠せない。キューバからの留学生でS・エースのアライン選手が八月の全国総体で公式戦出場が最後となる。十月の春高予選は出場できず、春高の卒業までは学校に残って進路を決める。来日当時からキューバで半年間高校を出たこともあって、決まってはいた。

 

 しかし寂しいのは今春の留学生アンディ選手が一身上の都合、六月末で帰国する運びになった。アライン選手と同じ一八九㌢の身長は次のレフトのエースと予定されていた。九月以降二人の留学生がいない事は、戦力ダウンが予想され学校側も頭を抱えている。

 

 同校は二年前、元NEC選手で日の丸も背負った泉水智監督(五二)を迎え強化を始動した。昨年も県内の優秀選手を獲得してチーム力は攻撃型で優勝争いに加わっていた。現実に一月新人戦は都城工に勝って初優勝。県総体は都城工に苦敗したものの、全国大会出場の第二代表の切符を手にして、一ヵ月は地元で優勝目指す予定だった。

 

 ただ八月まではアライン選手が活躍し期待は今までどおりだが、次の大会は留学生選手が不在だ。アンディ選手は最高到達点三三〇㌢でアライン先輩の域にはまだまだだが、二人ともキューバのジュニア代表の経験もあり攻守とも本場仕込みは文句なし。

 

 この二年、県バレー界の話題の主役だった都城東にとって痛手だがファンも急に寂しい思いをしているのも現実。「都城はバレーのまち」で、市民は全国総体の地元優勝を都城工か都城東かと夢を託していた。また、春高大会以降も両校には大きくライバルで競り合って勝ち上がることを祈っていた。県内ファンにとってキューバの留学生選手のプレーを見るのはこの夏で終了しそうで残念だ。

6月15日発行旬刊宮崎スポーツ

蓬原正嗣氏が死去 旭化成駅伝黄金時代築く

 旭化成駅伝で、第一期黄金時代を築いたひとり、蓬原正嗣氏が、五月二十六日都城市内の病院で直腸ガンのため亡くなった。享年八二歳。翌日、出身地三股町内の葬儀場で行われた通夜と、翌日の葬儀にはいずれも五百人が焼香した。旭化成幹部、陸上部から宗兄弟(六七)、県陸連関係者など、偉大な走者をいつまでも惜しんでいた。

 

 同氏は昭和三十二年に都島高(現都城農)からあこがれの旭化成に入社。陸上部には、宇和博、広島庫夫、原西正直たち先輩がいて、入部後に岩下察夫、磯端克明といった名走者も加わり、延岡のグラウンドは年々ファンが重なるようになった。当時の駅伝は八幡製鉄、電々中国、東洋工業、トラックで大昭和製紙、立夏―、倉レなどが強豪だった。無類の走り好きな同氏は、朝夕休むことなく走りまくり、同じ年の広島日出国選手とは大の仲良しで励まし合い競り合って練習したもの。スピードにやや欠点があり、駅伝では長丁場を任されることが多く、九州一周駅伝でも二十㌔コースを良く走り区間賞も数えきれないほど。好きなのはマラソンで朝日国際と別府毎日マラソンに十度以上走り残念なことに優勝はなく六位入賞に五度輝いている。

 

 圧巻は昭和四十二年秋のメキシコ五輪予選レース。「三人枠」に大きな期待を背負い県民は大注目してテレビを食い入るように見て声援を送った。前半からとばしてトップ争いをリードしたものの三十㌔余りから落ちだして四位でゴールした。悔しい表情が今のように思い出しているオールドファンは少なくない。翌年補欠選手になっても夢を捨てず走りチームに貢献した。

 

 三四歳でユニフォームをぬいで、数年後から山口県の岩国支社に配属され、また二十年後に延岡に戻り定年退職となった。郷里三股町に戻ってもその人気は衰えずことなく、町の体育協会長に抜擢され、小・中学生選手たちの指導も続けた。目じりを下げニコニコした表情は三股町民を始め県内の数多くの人々に「往年の名走者」と語りつがれることを信じたい。

活躍著しいセッター 後藤愛海選手(延岡学園)

 バレーボールはセッターの役割は非常に重い。アタッカーに打ちやすく相手コートの選手のいないところに打たせる。また前に挙げるマネをして後ろに上げたり、アタッカーの最高到着点を上げ、相手のブロックを越えたらこの上ない。俊敏でネット下のボールでもまた速さもあればセッターは攻撃の要と言って良し。全日本男子が世界一を誇った頃は、不滅の名セッター猫田選手がいた。世界から怖がられていたほどで、全日本女子も数年前世界三位など強かったとき、竹下選手が良く上げた。小柄ながら速いトス廻しは抜群だった。

 

 延岡学園女子で後藤愛海選手が今年になってセッターとして活躍し著しい成長をみせている。尚学館からセッターに転向し県中学選抜選手にもなった。上げるボールがぶれなくなり打ったら音も良し。自身を持ったらよく声が出る。司令塔として着々進化をしていて楽しみなセッターになった。同校は高さなら県一で何年も続いているが、高いだけでも最高到着点にタイミング良く上げなければ意味もない。打つ側としたら高い事が何よりも武器なのだ。一七八㌢、一七六㌢と高いアタッカーを生かすには、後藤選手次第で第二代表八年ぶりの全国総体出場が楽しみだ。

6月5日発行旬刊宮崎スポーツ

男女共に都城勢が制覇 高校総体バレー

 高校総体バレーは、二十八日まで盛大に開催され、会場の都城はバレー一色に染まった。その結果、男子は都城工が、女子は都城商が頂点についた。上位四校がリーグ戦で行われ、都城東、日南振徳、日向学院の順、女子は延岡学園、鵬翔、宮崎日大。男女とも上位三校は十四日から三日間都城開催の九州総体へ。上位二校は七月二十四日から女子が前半の五日間、小林と都城で。後半の五日間は男子が都城の全国大会へコマを進める。

 

 三年連続三十五度目の全国大会出場の都城工には大きな夢が期待されている。今大会注目の都城東戦で証明した伝統のコンビバレー、高速の攻撃は全国上位の実力。一八九㌢の黒木奨輝主将(高原)のスパイクは屈指。決定率も高く、九州でも評判のエースに成長した。どの試合でも先手攻撃で主導権を握ってきた。エースを見習い他のアタッカーも伸びてどこからでも打てる強さは脅威。強烈なサーブにレシーブの精度は日々安定してきた。三位だった地元四総体は二年津曲選手(サントリー)がライトエースで十年前の春高を制した。吉岡選手(JT)はレフトエースで柱がしっかりしていた。まして地元開催とあって、今から市民が声援を送っている。金丸真也監督(日体大)は「この勢いで日本一に」と、声をかけられ、笑顔で頷いていた。全国制覇にムードが漂っている。

 

 男子の日向学院は迷走が続いていたが、久々に四強入り。しかし三試合ともセットは取れず四位。以前は一九〇㌢選手が必ずいて優勝争いに食い込んでいたが、この数年は身体技量とも落ちているのは否めない。ただ附属中出身選手が中心となり、夕方制限時間いっぱいにコートで跳びまわり、またリーダーシップをとるのは、木場隼平主将(附属中)で、二年鈴木遥智(同)、園村英斗(同)、一八五㌢の永田晴悟(門川)は最高到着点三三〇㌢を超えてきた。今大会はレシーブミスも多く連続失点も多く後手になる試合が目立った。しかし控えに頼もしい大型一年生選手もいて、選手たちは十一月の春高大会を目指して会場を後にした。

 

 女子の延岡学園は、毎年高さはありながらも、上位進出も四強までが続いていた。一月の新人大会で優勝して自信を取り戻し、今大会は高さを生かして優勝候補だった。附属の尚学館出身で八人の県中学選抜選手が活躍した。セッターの後藤愛海は県中学選抜から名手で抜群のトスを上げれば、一七八㌢の須藤梨乃がパワーあふれるスパイク。二人のコンビは五年目になりまだ二年生。他にも一七〇㌢以上メンバーの半分以上いてコートを賑やかにした。攻めのチームは九州・全国総体と上位進出が期待されている。

 

 鵬翔は五年前から急に頭角を現し、四年ぶり二度目の優勝を目指していた。最後まで諦めない粘りが身上で三試合とも非常に粘り強く接戦が続いた。一七〇㌢選手は三人いても他は小柄な選手が多く、何としても守り型で臨んだ。惜しくも三位校に決まり九州総体では自らのチームカラーで初戦突破が目標。

5月25日発行旬刊宮崎スポーツ

各校目指すは全国大会 高校総体バレー、都城市で開催

 全国高校総体のバレーボールは、二十七日から都城市文化センターを主会場に、男子三十二校、女子三十六校が出場する。予選リーグを行い二敗した学校は終わりで、その後四強シードを加え決勝トーナメントに入る。そして上位四校がリーグ戦をして上位二校が七月三十日から同地で開催される全国大会に、上位三校は六月十四日から同じく九州総体にコマを進める。シード校は先日の九州総合大会の成績順で都城工、日南振徳、泉ヶ丘、小林西で、女子は鵬翔、宮崎日大、延岡学園、都城商。南部九州総体で地元枠が全国・九州両大会とも一校増えて各校とも意欲的に大会 に臨む勢い。

 

 大会の目玉は地元で初優勝をねらう都城工に八強シードの都城東戦か。平成四年都城開催の時三位だった都城工は充実して準備は着々。先日の九州総合大会で九州を制し、選手たちは自信満々。エース黒木奨輝(高原)のスパイクに安定感が出て、対角線に二年中島右京(串間)が成長。左利きの京牟礼佑芽(三股)も要所で決める。先日鎮西を破ったときはセンター陣が次々とブロックを決めたのも心強い。

 

 「地元枠」は絶対取りたい都城東は、公式戦で都城工に一勝しているが、その後は苦敗した。しかしキューバ出身の留学生アラインはさらに成長し、最高到着点三五〇㌢から放つスパイクは全国トップ。決定率七割以上で館内の注目を集めそう。また入学してセッターになった。鞆田凌人(妻ヶ丘)が主将と司令塔として大声を出すようになった。アラインだけでなく内村迅斗(三股)に上げたり、ライトで二年小林瑞樹(高千穂)にも良く打たせて連続得点も多い。急激に強くなった都城東が名門都城工にどこまで戦えるか地元同士の試合にファンは注目している。

バレー界の発展に貢献 都城バレー協会終身名誉会長の日高氏

 「総体の成功を祈っています」と話しているのは、都城バレー協会の日高巽終身名誉会長。昭和三十二年に旧都島高(現都城農)の体育とバレーの教諭として赴任。五年後に都城工が五十市台地に開校して異動し、バレーの指導と普及に尽力。昭和五十年度の春高大会で準優勝。茶の間の市民を釘づけにした。「九州に都工あり」と強豪校と次々と名勝負を残した。日本バレー界にも友人が多く、故松平康氏(慶大)とも大の仲良しだった。そして県内に実業団大会や国際大会も誘致するなど人脈はすごかった。「都城をバレーのまちにしたい」の願望も着々と市民に浸透して、地域、学校また夜間リーグは四十年以上続いている。南部九州総体は日高会長の尽力以外にない。串間市本城出身。日本大卒。八十五歳。

古豪復活の救世主か 比江島佑斗投手(高鍋)

 本県高校球界をリードし春夏十回甲子園出場の高鍋の低迷は長すぎる。しかし今季になって非常に力をつけている。春の四強入りは久しぶりで原動力はエースの比江島佑斗投手(上新田)。一八五㌢、八〇㌔㌘の右腕は巨人の畠投手にそっくりのフォーム。去年まで一三〇㌔だった直球は、一三八㌔を更新。また重くて打っても遠くへ飛ばないのも特徴。スライダーとカットボールも持っている右腕に、周囲はにわかに注目しだした。招待野球で桐蔭学園に五対三で勝って、サンマリンのプロスカウトらが手帳にメモする姿もあった。

 

 しかし欠点もないわけでなく、走者を出したときの投球。得点圏内に走者がいる時など、なかなか変化球に安定感がなく、池田光佑捕手(都農)のサインに首を振る時もある。走者がいてもカウントが不利になっても好投するのがエースだが、この課題を消化できたら必ず甲子園は見えてくる。同校の最後の甲子園は平成十年春で、その時の投手はプロ入りした。甲子園とプロ入りへこの夏は比江島投手は非常に楽しみな日々となっている。

5月15日発行旬刊宮崎スポーツ

令和最初の覇者はどのチームか サッカー全国総体宮崎予選

 サッカーの全国総体宮崎予選は、二十六日から六日間、四十三チームが出場し、決勝が六月一日木花の県サッカー場で行われる。上位二校は六月十四日から佐賀県での九州総体へ、優勝校は七月二十五日沖縄県開催の全国九州南部総体へ出場。シードは、県新人大会の成績の順で、日章学園・宮崎日大・宮崎第一・日南学園。八強シードは二度目の四強を目指す都城に、実力校の妻、巻き返しを目指す鵬翔、久々に力をつけた日向工で、この八校以外では延岡学園、泉ヶ丘、宮崎工、都城工の実力は接近している。

 

 サッカー人気は県内でも増加している中で、注目のテゲバジャーロがJリーグ昇格に不安を残している中で、高校でも効率の進学校の低迷が長い。宮崎西が今大会を制したのは平成九年。その後、上位進出も続いたが、今は県リーグで二部に落ちている。三部に落ちた宮崎南もつないで走るプレーが影をひそめている。大宮や宮崎北も三年生は最後の大会で善戦が注目される。

 

 また初戦突破目標の日南も部員がやや少なく今年は勝ちたいところで高城も一矢報いたい大会だ。四強以上が「指定席」だった都城工の上位進出がなく、地元で話題になっている。部員も多すぎてグランド狭しの感もある中で向上心をもって努力しているのは確か。大型連休も隣県との交流戦をA・Bチームともまずまずの成績。FWの軸で主将の中村颯大(高崎)とMFでうるさいプレーが身上の鷹巣颯吾(山田)がカギを握っている。特に中村はファイターで速攻のパス回しは同地区でもトップ。冬頃に比較したらグンとチーム力は上がっており、名門の戦いには目が離せない。

 

宮商野球が健闘中

 高校野球界で一時代を築き名門の名を残し甲子園でも活躍した「宮商」が低迷から必死に健闘している。特に昭和四十年前後は高鍋とともに高校野球界をリード、OBに小川亨、高橋博、水谷実雄、西井哲夫らプロでもかなりの実績を残して、今でもオールドファンの語り草になっている。十年前も高校選抜選手の赤川克紀が県民をわかせた。その後は不振が続き、三年前の夏は準優勝したものの甲子園は遠い所になっているのが現実。

 

 昨年秋からOBで橋口光朗教諭(東洋大)を監督に抜擢し、OB会からも非常に大きな期待を託されている。冬は異例と言ってもいい程猛練習を重ねてシーズンに入った。しかし春は残念にも二回戦でコールド負け。周囲はガックリだったが、先日の大型連休は鹿児島、大分などに遠征し、速さとパワーを目標に着々とチーム力は上がってきた。数人の硬式経験者もいて楽しみな選手はいるが、日野友太(住吉)、湯地亮太(檍)が打線を引っ張っている。高さのある岡崎怜央投手(住吉)たち四、五人の投手の成長次第では楽しみなチームになっている。

4月25日発行旬刊宮崎スポーツ

新入部員に期待 都城商女子バレー

 都城商女子バレーに九選手が入部し体育館はさらに活気づいている。そのうち一七〇㌢以上の選手が三人、また市外からやってきた選手もいて学校近くで上級生たちと下宿してバレーと勉強の青春が始まった。県中学選抜選手が六人で、一、二年後は県大会を制する顔ぶれで上級生選手もうかうかしておれない状況。

 

 全中体連で活躍した甲斐理香菜(土々呂)はサウスポーで一七一㌢の高さは魅力満々。中尾瑚子(妻)は一七三㌢のセンターで左右の動きも良い。重要なセッター草木優芽(細野)は大声出すファイター。他の選手も中学時代優秀な経験を積んできている。

 

 同校はこの十年どの大会も優勝戦線に割って入っている。しかし宮崎日大・延岡学園に苦汁もなめさせられ泣かされた。「不動女王」まではいかない戦国時代のバレー界ではあるが、バレーの盛んな都城市民には非常に浸透してきた。今年も市民の間で「いい選手が来たのかなー」など注目を受けている。強化してきた時からレシーブは練習時間の大半を費やし、その巧さは伝統になり、粘り強さは定評。 一月の県新人と四月の九州総合大会はいずれも四強止まりだったが、大型連休は関西に遠征し、新入生も強豪校のバレーを学ぶことになっている。夏の総体は小林とえびので開催されるが、九選手は「必ず先輩たちに頑張っていってほしい」と言いながら「私たちの夢は大舞台でプレーすること」と目を輝かせている。

 

 秋から選手勧誘に苦労した松元一太監督(筑波大)は「新戦力は鍛えますよ」と右の拳をガッツポーズで笑顔を見せている。

高校宮崎野球 VS 明石商、桐蔭

 MRT招待高校野球は五月十一日から二日間、サンマリン球場で行われる。招待校はセンバツ準優勝明石商(兵庫)とセンバツ出場の横浜桐蔭でいずれも初の招待校。全国的なレベルの試合を見られるとあって県内で最も楽しみな大会で過去にはプロで活躍した選手も多く県民を歓喜させた。MRTは全試合ラジオで初日の一、二試合をテレビで実況の予定。

 

 迎え撃つ本県勢は六校で春を制した小林西、センバツ出場の日章学園がどんな戦いを見せるか。そして久々に都城東と都城西。都城西の坂元稜投手(中郷)のキレのある速球も注目の登場となる。高鍋は山本一夫監督(東洋大)が六年目で初。秋は八強で春四強。十一月の一年大会で優勝して地力が着々。右の本格派右腕、比江島佑斗投手は一八五㌢で一三〇㌔後半を出せるようになった。上新田中では軟式だったが硬玉にやっとなれてきた。打線も活発で二年の清水翔平(宮崎中)は一塁と二塁を交互につき鋭い打球はリトルシニアで努力が実った。硬式なら高鍋 リトルシニア出身が半分近くいて二、三人の二年生選手が成長途中。全体的に攻守にパワーが不足。今大会で実りある試合をして古豪復活の兆しにしたいもの。

 

 宮崎第一は三年ぶり三度目の招待。春の準Vは守備力で勝ち上がった。左の川島隆志投手(清武)は一四〇㌔半ばの速球と角度のあるスライダーはプロ注目。明石商打線とどこまで抑えられるか。守備力も非常に堅く勝ち上がった要因。川端天晴(滋賀)は大型三塁手で強肩。宇都龍成一塁手(綾)はピンチの守りで貴重なプレーを見せる。外野陣は有川倫太郎中堅手(宮崎西)が俊足で守備範囲が広く、相手打者に対して位置も変えたりして強肩も頼もしい。夢の甲子園は今大会にかかっている。

4月15日発行旬刊宮崎スポーツ

猛練習で着々と進化 都城工ラグビー

 都城工ラグビーが春の猛練習で高い成果をあげ着々と進化している。春休み薩摩川内へ遠征し、玉竜など熊本と佐賀の両県の高校約十校と充実の二日間を終え、帰校して二日目に同市高崎町で日向工と合宿。汗だらけの練習は住民を驚かせた。去年の花園予選の決勝で高鍋に屈したものの同校の完封勝ちを抑えて夢のトライを果たした。

 

 今の選手たちはその感激を忘れていない。特徴はFW陣の平均体重九〇㌔で注目されている。一八〇㌢位で一〇〇㌔が数人いて、花園出場の古豪にこの上ない戦力。俊足のBK大野彪太(庄内)はチーム一の俊足。五十㍍六秒四で楽しみ。新西史門主将(西中)がまとめ役のナンバーエイト。突破力は馬力があり、攻撃の主役。溝口泰誠(同)は相手に強い気迫で出る。財部知樹(妻ヶ丘)も速攻とパワーを上げ、岡元俊哉(沖水)も周囲を良く見て動く。二年前一二〇㌔だった立野佑享(庄内)も二〇㌔近く減量になって下半身が強くなった。ボールをとって倒れない。そして攻守の要笛瑠人(妻ヶ丘)SOとして成長しているのも心強い。

 

 都城工ラグビーOB会の組織力と団結力は県内でも指折り。千原裕二会長(五四)の声で、二十人程で去年六月熊本での九州大会に応援に行った。初戦で敗れたものの福岡からも応援に来たOBらとともに大きな拍手で後輩たちを励ました。古豪も一時は十五人もいない頃がありOB会は心配していたが、この数年は中学まで全くラグビーを知らなかった部員も入り、そこで脱落者もいない。基本練習の重ねだが、都城市内といわず「都工ラグビー」の灯は輝いている。

小林西が九州大会へ 投手陣の安定が優勝のカギ

 春の高校野球は、三日の決勝戦で小林西が五対二で宮崎第一を破って四度目の優勝(秋を含む)で、二十日から鹿児島市で開催される九州大会(十八校)へ出場する。

 

 今大会の小林西は投手陣が安定し先攻逃げ切り型で八度目四十一季ぶりの舞台で夏の甲子園を目指すことになった。エースの鶴田幸多郎(谷山)は一七八㌢の右投げ。一三〇㌔後半の速球とスライダーで緩急をつけ制球もまずまず。他に控え投手二人も完投能力があり危なげない投球を見せた。

 

 打線も主砲高橋汰空(天保山)を軸に活発。宮崎第一のプロ注目の石島隆志(清武)の一四〇㌔を九安打した。守っても内外野は俊足ぞろいで遊撃手石川零也(大阪)の守備範囲が広い。投攻守とミスが少なく久しぶりの好チームに成長し、ファンの期待は増している。

 

 オフの訓練はいつもより厳しく消化した。秋の九州大会に第二代表で出て優勝校に九回サヨナラ負けで善戦し、選手たちは、「甲子園は遠くない」と勇気も出していた。西諸地区の活性化のためにも今後の四ヵ月市民の話題になりそうだ。

4月5日発行旬刊宮崎スポーツ

今年は貴重な左腕 川島・武藤両投手に注目

 高校野球の今年の左腕投手は少ない。県全域見回して名前が上がり将来を嘱望されているのが、宮崎第一の川島隆志と、都城東の武藤敦貴の両投手。

 

 川島投手は清武中軟式出身で一七七㌢、六五㌔と均整が取れた体格。去年夏はエースで登録され、三試合とも二番手で登板した。打ち込まれたが要所を締めていた。秋もエースで勝ち上がり準決勝で小林西に二対三の九回サヨナラ負け。しかしベスト4の原動力は、この冬走り込みを重点に訓練、一回り逞しくなった。直球が常時一三五㌔で、春の予選は最速一四三㌔を出して仲間を驚かせた。スライダーとツーシームの精度は高く、左右に良く決め制球も申し分ない。また変化球を放つときも、直球を放つときも腕の振りが全く変わらない成長も見せている。まだ伸びしろはいっぱいあり、暖かくなるにつれて直球の速度は増すような勢い。チームは打線が弱く秋は四試合で十得点だったが、徐々に打線も上向きで堅い守りで少ない好機を確実に活かせば同校の夢はさらに開きそうだ。

 

 武藤投手は北九州の硬式出身で入学時から投打に活躍し、秋には宮崎開催の九州大会出場。九州学院戦に完投して注目の好投手になっている。一七七㌢、六〇㌔は細すぎるが、一三五㌔の直球と抜いたボールでカウントを取って鋭いカーブで打ち取る術は絶品。今からでも下半身、体幹を鍛えれば一四〇㌔の速さも見えてくる。打撃でも主砲で夏は二本塁打を放ち、入学以来三十本塁打を記録し、「将来は打者で」とも言われているが、投手陣の台所を考えると武藤投手が投げ切ってこそ夢は近づいてくる。左の両投手は夏まで目が離せない。

聖心ウルスラで練習中 植村投手(元宮崎中央シニア)

 硬式野球の宮崎中央シニアで力投していた植村太陽投手が、聖心ウルスラに入学し練習に入っている。同投手は都城今町小六年時に、ソフトバンクホークスのJチーム二十人の枠に入り、全球団J大会に出場した。その自信を持って中央シニアに入団。週四日の練習を都城から両親の車で通い頑張った。二年生の春に大阪で開催された全国シニア大会に出場し大きな経験をした。また九州大会も何度も重ねた。

 

 左の本格派は、大きくきれいなフォームで定評があり、低めいっぱいの直球を武器に、右打者へ胸元を左打者にヒザ元へのスライダーは制球良く、三振も多く取れていた。小学校高学年から身体の成長が著しく、周囲の同級生よりパワーがあった。打撃投手も積極的に務め、去年の秋頃は一日一五〇球投げても平気になり、今オフは実家近くの登り坂を走ったりジムに行って筋トレも盛んに取り組んだ。本人は即戦力より高校生としての体力をつけることがまず目標で秋には「試合に出られたら」と練習の準備やボール拾いに汗を流している。一七三㌢、六四㌔。

新入生も加わりチーム力強化 宮崎日大女子駅伝部

 宮崎日大女子駅伝部も新年度に入り合宿などに走りまくっている。前月二十六日まで三日間五選手が熊本県水上村に遠征し朝夕の走り込みを重ね、月末から延岡市に遠征、一週間他の高校選手や社会人と強烈な練習を重ねた。三年生六人、二年生二人に新入生五人が加わった。新入生一人は長距離は初めてで計十三選手は次へのステップを誓っている。

 中でも中距離の澤田奈弥選手(富田中)が新主将としてチームを引っ張る。一五〇〇米に四分三十九秒三五の好記録を持つ彼女は、まだ全日大会出場の経験がなく、今年こそは継なぎの区間での出番を目指している。寮や校内外での練習も下級生に声をかけまとめ役としても信望もあつい。二月の県新人駅伝は小林に四十秒で負けたものの一区少ない四区間だったので落胆はしていない。十月の全国予選で六連覇するのが目標だが、今月十三、四日の記録会と二十七、八日の高校ジュニア大会で上位選手が何人出るかが課題。その後五月の県総体と次々と強くなることが何よりで、全国総体は去年二人。今年もトラックでまず好記録を目指す。

3月25日発行旬刊宮崎スポーツ

テゲバジャーロ開幕戦惜敗 連携強化など課題浮き彫り

 サッカーのJFLは、十七日開幕し、テゲバジャーロ宮崎は〇対一でヴェルスパ大分に惜敗して生目サッカー場を沸かせた。J3昇格を目指しているテゲバは、本県出身選手が五人、日章学園出身の藤岡浩介(二四)、宮崎日大出身の水永翔馬(三三)がJ3経験者で、宮崎日大出身の橋口拓哉(二四)はJ2からレンタル選手で、全体的に手堅く守るチームで注目されていた。試合は約千六百人のサポーターが歓声をあげ序盤からテゲバは攻撃を続けた。初戦を飾って勢いに乗りたいところが、セットプレーや六本のシュート機会もはずされて、〇対〇で前半を終了すると場内はどよめくようなシーン。

 

 後半はドリブルが上手でゴール前で身体を張って出来る米澤康太(都城工)を起用、攻撃を変えた。しかし十五分後に右サイドから思い切ったシュートでゴールを決められた。テゲバは四本シュートしたものの得点にネットを揺らぐことなく笛がなった。残念な結果でもサポーターは「良くやった」の大声がいつまでも続いた。

 

 ただ、コンビネーション、連携などに時間をかける必要があり、J3昇格まで物足りない部分も。FWで速攻も見せた米澤(二五)は、国際城西大を卒業して、郷里のFC宮崎でプレー。次への夢を描いて同チームに入ることができ、母校の後輩らに勇気を贈った。この三年間は、アルバイトしながら個人練習も重ねてきた。そして背番号9ももらって夜は眠れない程うれしくこの日を待った。若く思い切りの良いプレーはまだ潜在能力を秘めている。十二月までの長丁場で勝ち上がることを目標に新たなサッカー人生が期待されている。

本県からも多くの力士が入門 大相撲佐渡ヶ嶽部屋

 大相撲の佐渡ヶ嶽部屋と本県の相撲界は大の仲良し。四十数年前から、本県から多くの力士が入門している。昭和五十年ごろに、琴黒潮(旧野尻)、琴虎(小林)、琴嵐(旧高﨑)、琴雲海(宮崎)、十両入りは果たせなかったが、今は幕内で琴恵光(延岡)が活躍。

 

 そして三段目上位に琴砲(小林)は関取りめざして県民の声援を受けている。同部屋は両国から電車で二十分程の千葉県松戸市に大部屋を構えている。昔から常時関取が数人いて、力士も多い名門。本県と距離が近くなった訳は、元横綱琴櫻(故人)が同部屋を引き継いで、同夫人が宮崎出身だったことも大きい。琴櫻は幕内優勝五回の人気力士だった。「猛牛」のニックネームで横綱昇進は三十二歳で、同じ年の大鵬より十年以上遅れた。「遅咲き」は骨折などで小結から十両に陥落した苦労もあった。

 

 指導者としては厳しさ、優しさなどファンも多く、大関琴風、関脇琴錦、関脇琴ヶ梅など人気力士を育てた。退職後は関脇琴ノ若を長女の養子にして部屋を継がせている。その後も大関琴欧州、大関琴光喜、大関琴奨菊(現幕内)らを育てて角界上位部屋に至っている。また、先代の本名で現親方の長男が「琴鎌谷」のしこ名で春場所幕下上位で活躍した。本県のファンにとって佐渡ヶ嶽部屋の力士の活躍は毎場所気になるところである。

柔道ファンの関心高く 注目は都城商の江藤選手

 高校男子柔道の個人戦で全国的なレベルは、七三㌔級が非常に話題になっている。延岡学園の吉野天成(千葉)が全国中体連で優勝して入学。先月の県選手権で優勝。宮崎日大の荒川正宗(愛知)が九州三位を二度。染矢兼玖(福岡)が去年六六㌔級で全国大会出場。秋の新人大会は七三㌔で県一。

 

 この三選手に割って入って期待されているのは都城商の江藤卓。地元の姫城道場から専門教諭のいる綾中学校に進んだ。柔道は三年のときフリーエントリーで渡米。六六㌔級で勝ち上がり日米大会を制して自信をつけた。しかしその後は、県内で優勝目指しても決勝進出は阻まれ続けた。「何とか優勝したい」の気持ちは空回りすることもあった。体落とし以外にもかついで投げることも試合の流れから努力して、先月の選手権では準々で荒川選手に技ありで接戦を取って四強入り。

 

 頂点の夢は実らなかったものの、内心では気をよくしての連日。七三㌔級は誰が全国へ行っても上位進出は可能な顔ぶれで関係者の関心は非常に強く、二ヵ月後の県総体が楽しみ。

3月15日発行旬刊宮崎スポーツ

創価大駅伝部監督に就任 小林高駅伝部出身の榎木氏

 小林高駅伝部出身で、名走者の一人榎木和貴氏(四四)が、三月一日付けで東京の創価大駅伝部の監督に就任することになった。高校時代と中央大学で活躍。高三の時、都大路で、和田・若松らと三本柱で優勝争いに加わり三位。箱根では四年連続出場し、二度区間新。旭化成に入り九州一周駅伝などで県内のファンを歓喜させ、二度目のマラソンだった別大マラソンで、二時間十分五十五秒。その後は、腰の故障などで三十歳で現役引退。フルマラソンの厳しさを痛烈に受けた走者でもあった。

 

 沖電気女子駅伝部が誕生したこともあり、先輩の谷口浩美監督(五八)の下でコーチをして延岡を去った。同社で指導学を得て、愛知県のトヨタ紡織男子駅伝部コーチに移った。旭化成の先輩亀鷹律良氏(水島工)が監督の時代。四年後の監督に佐藤信之氏(中央大)が指揮をとって、ヘッドコーチ。その後に初の監督業に就いていた。ニューイヤー駅伝で上位進出はなかった。家族は旧山之口町においての仕事だが長男真央君(まひろ)は宮崎日大駅伝で一年を終えた。

名コンビ、集大成の1年 都城西バレー坂本・松浦両選手

 都城西バレーの仲良しコンビが二年を経過して、いよいよ集大成の一年となった。坂本捺海・松浦真歩の二選手で、遠い新富町上新田中出身。公立進学校が合同選抜制があった頃には全く考えられないことで、宮ノ下雄司監督(福岡大)の熱い誘いだった。二人は県中学選抜選手で宮崎市内の強豪校から声をかけられたものの、かつて都城商を強くした名監督のコートを選んだ。六㌔離れた所に下宿して自転車通学。幼少時から全く違った町で、知らない環境で、勉強とバレーに明け暮れた。

 

 レフトの位置を不動にした一六八㌢の坂本は二六八㌢の到着点は県内では屈指のスパイカーに。松浦は五㌢低いものの垂直跳びはチーム一。トスを上げるのも巧くなり周囲から信望を集めるファイター。二時間の練習は厳しいが、中学時代の仲間には、「絶対負けない」と堂々名コンビは話している。そして全国総体と春高に出ることが大きな目標で、苦しさにも耐え続けている。昨季は都城商戦に一セットとったこともあり、日々に自信も高めている。都城で開催される県総体は二ヵ月となった。

選抜史上に残る激戦 都城高対PL学園

 春の選抜野球も本県勢はいろいろなドラマを残してきた。最も県民に感動を与えたのは、昭和五十九年か。秋の九州大会を制した都城高が、優勝候補の一角で初出場。左の剛腕田口章二投手(元南海)の好投がうなり、和歌山工、私立神港(兵庫)、愛工大名電(愛知)を破って準決勝に進出。

 

 相手は桑田・清原のいるKKコンビ人気校PL学園。桑田真澄投手(元巨人)と田口投手は全く互角の投げ合い。両校とも一進一退で適時打が出ない。緊迫の甲子園は一球ごとに四万人の観客は息をのみこむようにグラウンドに注目。〇対〇のスコアーは一一回になり、その裏PLは先頭打者が四球。次が送りバント失敗。四番清原和博(元西武など)は左直で二死。その後五番桑田が二球目を打って右翼へ高いフライ。

 

 チェンジと思われたが都城高の右翼手がポロリと落球し一塁走者がバンザイと手をあげてホームイン。まったく考えられない落球でサイレンが鳴った。翌朝の新聞は「甲子園上空に魔物」と大きく見出し、劇的なサヨナラゲームを報じた。選抜史に刻まれているこの大試合は今でも甲子園ファンは忘れていない。そして「都城」の名は全国に広まった。

 

 当時の河野昭喜監督は「大漁をのがした」と報道陣に答えた。名将も来月で七七歳で現在は宮崎市月見ヶ丘で元気に教え子たちの活躍を願っている。

3月5日発行旬刊宮崎スポーツ

高校野球シーズン到来 注目はファンに話題の小林西

 高校野球は八日から練習試合が解禁され、いよいよ野球季に入る。春の九州大会の組み合わせも決まり、優勝校は来月鹿児島市開催の九州大会にセンバツの日章学園と出場する。

 

 優勝候補の筆頭に上がっているのが、秋の準優勝の小林西。七度目の九州大会に出場した初戦で、福岡優勝の筑陽学園に非常に善戦し、〇対一で九回サヨナラ負けで涙をのんだ。その筑陽学園は九州大会を制したのだから全く惜しまれた。三対〇、四対〇で勝ってもおかしくない試合で、力投したのはエースの鶴田幸多郎投手だった。鹿児島谷山中の軟式野球で県大会出場した右腕は「甲子園に行きます」と名門に入学。一七八㌢の身長と、五八㌔の細身は徐々に体重も増え、直球も伸び出して昨年夏から頭角を現し夏も大会も活躍した。カーブとスライダーだったが、この冬チェンジアップも身に付け、速球も一四〇㌔近くになった。登り坂を走り下りも流れるように走りまくったのが功を奏してきた。投手陣は県内でもトップ。鶴田投手以外にも左投手や右下手投げ投手二、三人が控え、驚異的。

 

 オフの猛練習は霧島山麓の冷たい風の中だった。少子化と野球熱が冷えかかっている西諸地区に小林西野球は周囲に勇気を与えている。三十二季ぶりの九州大会出場は、ナインは自信にもなっている。平成五年夏の甲子園で準々決勝まで躍進したことは市民も忘れてない。夏の甲子園を目指して小林西ナインは、八日から三日間大阪へ遠征する。

選手たちの進路決まる 日章学園サッカー

 日章学園サッカーの進路が決まり、次のステップへ再びピッチに立つことになった。県内の公式戦で新人大会Vまで三十五連勝中で、三年生の進路は気になるところ。主将でMFの比嘉将貴選手は鹿屋体育大へ進む。攻守の軸でコントロールが良くチームをまとめた。得点王でファイターの河原淳選手と一対一のプレーに強く空中戦も守りの要DFの高田椋汰選手が仲良く阪南大(大阪)に行く。関西大学リーグの上位校で大学側も期待が大きい。そのリーグの大阪体大へは守りの神様GK小原司が進学。俊敏な動きと鋭い動きは定評があった。負けなしの主役選手でキックも遠くへ正確さも手伝い、早い段階で出場ができそう。彼らは附属中時代から「全国版」で、日章学園の名を強くアピールした名選手。一年生の選手権予選で鵬翔に負けてから、勝ち続けた。練習環境も申し分なく、汗と涙で培った心身は飛躍の三年間であった。サッカー熱の高い宮崎サッカーを背負ってさらなる成長が期待される。

都城東バレーが急成長 注目はアライン選手

 高校バレー界に斬り込んでいる都城東が、ファンの話題の頂点になっている。一月の県新人戦で都城工に勝って初の栄冠。九州新人では決勝トーナメントに進出し、鹿児島城西に負けたものの、急激な強さに皆が驚いている。

 

 その強さは、何と言ってもキューバからの留学生でS・エースアライン選手。一八九㌢で垂直跳び八十㌢、最高到着点三四五㌢。パワーのすごさは強烈ブロックを炸裂し、決定率は七割以上。昨年は九州にいないアタッカーと言われていたが、今や全国的なアタッカーである鎮西(熊本)の水町選手と比較されている。水町選手は一八一㌢と普通の高さだが、三拍子揃い一年生から名門のエースで全国大会でも活躍している。

 

 しかし名門都城工も維持がある。優勝を奪回するには伝統の速攻を取り戻すことで、レシーブを速くかく乱するくらい回すことなど、都城東戦を研究に急いでいる。「王者」の座を何度も渡すわけにはいかないが、都城東も「名門に勝ってこそ意味あり」とアライン選手と一丸となっている。県総体まで三ヵ月で両校のコートには熱さが漂ってきた。

2月25日発行旬刊宮崎スポーツ

専修大への進学決まる 小林高バレーの下鶴選手

 小林高バレーの下鶴惣真選手が関東大学一部の専修大へ進学することになり、近日中に上京することになった。下鶴選手は同市細野中出身で、父親が南米出身で母親が地元。両親とも体格良く、下鶴選手は小学卒業時に身長一八〇㌢になっていた。細野中時代にさらに身長が伸びソフトテニス部でもリーチが長く活躍した。

 

 高校に入学して一九〇㌢台になり、今は堂々の一九六㌢で校内外でも翌目立つ人気者になった。入学頃に「バレー部へ」と校内部員や周囲に誘われてバレーコートに入った。何と言っても高さは魅力で、スパイクは相手のブロックの上。また跳び上がっても驚くことばかりであった。一年の新人大会から正選手になり、半年後の県総体で四強入りの原動力になった。相手校は彼の動きを研究するなど注目の選手となり、県代表選手にも選ばれ、九州国体も経験した。

 

 「大器」はバレーを初めて三年もない。まだ成長中で欠点もないわけでもないが、小柄な選手は高校時代に完成する程成長するが、大柄な選手はどうしても遅咲きが多い。父親に似て南米特有の下半身のバネが伸びたら、今の最高到着点が三二〇㌢でも、後二、三〇㌢伸びても当然。ブロックする時の左右の動き、レシーブをもっと柔軟に、ゲームの流れを読むなど課題は多いが、これまでの相手校の監督は「一大会ごとに成長した」と、脱帽している。下鶴選手がさらにバレーに没頭し努力するなら、日の丸選手になることも十分期待できる。

 

 監督の矢野和昭教諭(九大)は、宮崎北高と九州六大学野球で活躍した左の大型一塁手で、大学時は即戦力大砲だった。「バレーは勉強中ですが、彼は人の話をよく聞く少年。正直で向上心も旺盛で将来は必ず日本代表選手になってくれるでしょう」と夢を描いている。専修大には二人の選手が活躍中で、OBにFC東京の長友優麿(都城)が中心選手。

本県球界沸かせた県北勢

 昨年の高校野球は、県北勢の活躍で話題が集中した。センバツ大会に延岡学園と富島が、本県二校が五十二年ぶり出場。最後は延岡学園の小幡竜平遊撃手(大分)が阪神へ、聖心ウルスラの戸郷翔征投手(妻ヶ丘)が巨人入り。

 

 圧巻は何と言っても三年前門川中が全国中体連軟式野球大会で全国制覇したときの選手たちの活躍だった。六選手が延岡学園に入り夢の甲子園出場を果たした。しかし、春夏連続を目指した延岡学園の夏は、第一シードながら初戦宮崎工に延長十二回七対八で敗れた。激闘に屈し大泣きしたナインの中で門川中出身選手も周囲のことはかまわず号泣した。八回途中まで力投した上野元基投手、三安打一打点の椿原塁中堅手は主将らしくナインをかばいながら涙をこらえた。正捕手をとられなかったことに、堰口広大選手も代打で安打できなかったのを悔し涙。門川中出身ばかり注目した一般卒業生や県北ファンも大きなショックを受けた。上野選手と椿原選手は中軸で活躍したものの、門川中の元僚友や先生たちにとっては不満も募った三年間でもあった。

 

 しかしセンバツ大会で夢の甲子園でプレー、ベンチ入りできたことは六選手にとって一生の宝物。四選手は大学でも野球を続ける予定で、今は後輩たちと夕方暗くなっても練習に暮れ、次の夢を追っている。

2月15日発行旬刊宮崎スポーツ

都城東野球も練習に熱 勝負のカギは2人の1年生投手

 県内は野球とサッカーのキャンプで花盛り。高校野球もいよいよオフ練習も終え本格的な練習に戻ってきた。都城東も「今年こそ」の勢いが出てきた。勝負のカギを握る一年生二投手もブルペンで良い音でミットに収まってきた。

 福嶋尚之投手(高城)は制球力を軸にスライダーとフォークも交えて投げ込んでいる。中学では県大会に出場し、県Kボール選手にも選ばれ、西日本と全国大会のマウンドを経験。入学半年は我慢の練習で秋には中継ぎで登板した。今年は一三〇㌔の直球を目標に打たせて取る技術を磨きたい。一七七㌢、六八㌔。

 

 有馬太玖登投手(生目台)は、硬式の宮崎リトルシニア出身で、九州大会優勝と全国大会出場のエースだった。即戦力で春も夏も投げて、夏はマックス一三八㌔の直球も出して話題の一年生投手だった。また、中学最後の本県開催の東アジアリトルシニア大会も台湾、韓国戦も投げ非常に実績を持って入った。早くも一年を経過し、今年は一四〇㌔の直球とスライダーやツーシームなどしっかり身に付けて、先発登板を目指す。一七三㌢、七〇㌔。

 

同校は九州大会三度出場と春とNHK杯を制している。オープン戦の初戦は三月九日、日南学園戦。

高校サッカー 新人王は日章学園

  高校サッカーの新人戦は、先月児湯・西都地区などで四十校が参加して、日章学園が四年連続十回目の頂点に立った。全国大会で初戦敗退の本県は、「出直し」を誓い、全体的なレベルアップを目指しているが、四強に宮崎第一が進出し、古豪宮崎工と都城工が初戦で姿を消した。今大会がチャンスの公立の進学校も上位進出はなく関係者にとって頭の痛い結果だった。

2月5日発行旬刊宮崎スポーツ

高校野球センバツ大会 日章学園が出場決定

 高校野球のセンバツ大会に日章学園が出場決定し、県内のファンが歓喜している。去る二十五日大阪市内で全国高野連の選考会で、九州枠四校のうちに選ばれ、午後四時前に同校に電話報告され関係者は涙ぐんでバンザイしながら肩をたたき合ったりした。夏は平成十四年にブラジル人留学生を擁し甲子園出場、春は初めての快挙。九州大会(熊本)では目標の四強入りは実現したものの、準決勝で明豊(大分)に四対十で敗れ、コールド負けの寸前。そして明豊は決勝戦で負けて結果的に四位校だった。そこで八強校から見ると左の好投手宮城投手のいる興南(沖縄)が準々でV校の筑陽学園(福岡)に延長十三回タイブレークで〇対一のサヨナラ負け善戦が気がかりだった。見る人によっては、実力は興南が上とも三ヶ月言われ続けてきた。

 

 日章学園のカラー左右に打ち分ける打線。大砲はいないが、中距離打者が多く、足も駆使する。そして内外野とも失策が少ないのが特徴で、コーチ陣も良くノックしての毎日だった。甲子園は県内や九州にはいない投手もいることで、打線もうまくはいかないかもしれないが、基本である守備力が今までどおりプレーすれば展望は開きそう。

 

 問題は投手陣。石嶋留衣(富田中)と寺原亜練(附属中)は右の上手投げ。石嶋投手は兄友翔選手(二〇)も日南学園の遊撃手で、甲子園出場で、「兄弟甲子園」となった。直球は一三五㌔程でも落差のあるスライダーと交互にコースを分ける。中学での実績は乏しいが高校に入って伸びてきた。寺原投手は一三〇㌔の軟投派。打たせてとる投球を身に着けている。守りを信じて物怖じしない変化球も三、四種類あって走者を背負っても落ち着いて投げる。二投手の継投は気になるところ。県大会以降どの試合も先行投げ切り型で勝ち上がってきたが甲子園でも「先手攻撃」で、二投手で逃げ切りたい。抽選会は三月十五日大阪で行われる。

高校駅伝新人大会開催

 高校駅伝の新人大会が、十日小林路で行われる。参加校がやや増えて男子はBチームを加えると十八校二十四チームで女子は二十校中二十二チーム。午前十時に女子は高原中から小林高まで四区間。男子は十一時半から小林高から高原町往復で健脚が期待される。年末の都大路では宮崎日大が男女とも出場し、「陸上王国」の形容詞に対しイマイチの成績だったが、関係者は新スタートに闘志を燃やしている。

 

 予想は、男子は宮崎日大がV候補で、小林がどこまで食い下がるか。女子は宮崎日大と小林が全く互角と言われている。六連覇中の宮崎日大でアンカーを走る予定の小野愛莉選手(吾田)の仕上がりが順調。先月の県女子駅伝では、日南新光クラブで出場し、一区四㌔を二位と同時に中継十三分三十六秒で三位。チーム七位に貢献した。また都大路でも三区を区間二十一位で全国の平均的な走りを見せチーム内でも信望は抜群。練習も意欲的で週四日朝練もあり、土、日の校内トラックでも率先する。フリーの日も持久走で六十分をしっかり走り込んだり、四百㍍もスピードをつけるため納得するまで走る。千五百㍍が得意でレース運びもピカ一。チームは三年生が抜けて八人。二、三人は故障がいて、強敵小林よりコマ不足は否めない。今大会も制して、いっきにトラックシーズンに挑み、十月の駅伝まで実力を養成したい。

 

1月25日発行旬刊宮崎スポーツ

今後の活躍に注目 東洋大3年の今西選手

 正月に開催された全日本実業団駅伝で、旭化成が三年連続優勝し、県民に勇気を贈った。若手の台頭で黄金期が来たといえる。その軍団の中に本県出身がいないのが残念。

 

 二、三日に行われた箱根大学駅伝でも本県出身選手は二人。その中で東洋大三年の今西駿介選手の走りは茶の間のファンを釘づけにした。三日復路の六区一位でスタート。下り坂を去年に続き任されて、二〇・八㌔を懸命に走り区間三位。国学院と東海大の選手にはやや負けたものの同区では歴代四位の記録。東洋大はその後に失速があり、二日目は五位でゴールした。

 

 今西選手は小林高時代三年連続都大路を走り、二年の時三区で、中継点で密集地をゴボウ抜き。二十二人をかわしたのは有名。チームを五位入賞に貢献し翌年も三区を留学生選手たちと走り六位。「箱根を走る」と、その夢は東洋大で実現し、二度目の快挙だった。去年はやや低調で今季は十月の出雲大学駅伝で五区六・三㌔を一位、十一月の大学選手権(三重)で三区十一㌔を四位で走るなど好調だった。また、昨年はクロスカントリーでも活躍し、スイスと中国に日本代表で遠征した。

 

 今西選手の父俊郎氏(五六)も高原畜産高で活躍し九州大会出場。旭化成に入社し九州一周などで走り三年で退社。期待の星は東京農大へ進学し一年目に箱根を走った。地元西諸では、早くから「サラブレット」と言うファンも多かった。小林高OBで谷口浩美選手が堂々と日の丸をつけ活躍したものの、卒業後に第一線で活躍がない。県民にとってやや不満ではあるが今西選手の活躍は楽しみだ。

本県から3人が選抜 少年サッカー優秀選手

 将来のサッカー界を担う少年サッカーの優秀選手の選抜が十一月末発表された。九州で二十人、全国で七十二人、本県からは、フォルトウナ延岡のMF井本海吹君。ドリブルが巧く、速さも申し分ない。日ごろからチームの柱として活躍し県北で良く注目されていた。

 

 太陽宮崎SCからMFの南平晴翔君。運動量がすごいのが特徴。止まったり横へ渡したり名門を支えてきた。

 

 都城木之川内山の名和田我空君。父親もサッカー出身で速くから父に鍛えられてきた。センスは抜群のFW。ボールタッチが柔らかく抜け出す突破力は目を見張る。十一の県大会決勝戦では〇対三で宮崎アリーバに負けたが、テレビの録画放送では解説者から褒められていた。同小は昔から名選手が生まれるチームで、高校で全国大会に出場した先輩も多い。周囲や市のサッカー協会でも大きな夢を託されている「逸材」だ。

 

 三選手はいずれも六年生で、年度末までに熊本で九州代表二十人が招集され、激励会、そして練習など教えられて解散となるが、今後のサッカー人生が期待される。

目指すは女子バレー日本代表 横山選手(日大)が鹿屋体大へ

 宮崎日大女子バレーのエース横山真奈選手(附属中)が、鹿屋体育大進学が決定し、日の丸選手を目指すことになった。同選手は一八〇㌢で垂直跳び五十六㌢、最高到着三百㌢と本県でもこれまでにない大型選手。センターやレフトでプレーし、全国総体三度、春高一度出場。昨年夏は全日本高校選抜でタイへ遠征し貴重な経験もした。「大型でも器用さもある」が周囲の声で、スパイクもパワーがつき、ブロックも俊敏に動いて良く止めた。レシーブも柔らかくて将来性もあり、センバツされた十二人の中で良く目立った。

 

 鹿屋体育大はこの十年、非常に力をつけて数年前大学選手権を制した。九州大学リーグでも頂点に立って、常にV争いをしている。選手たちはさほど多くないため、同選手がコートに入るのも遅くはない。同校の先輩が現在三人いてすぐ環境にも慣れそうで、二、三年生時にエースになることはまちがいなさそう。同大学出身の全日本は今はいないが数年前まで内瀬戸選手(延岡学園卒)が活躍していたが、横山選手への期待は「全日本代表」だ。

1月15日発行旬刊宮崎スポーツ

森・温水両投手が帰省 母校グラウンドで汗流す

 去る正月前に都城商野球部出身、ロッテの森遼太朗投手と社会人野球大阪ガスの温水賀一投手が、オフを利用し、母校グラウンドに帰省してきた。恩師の河野真一監督(産経大)ら、後輩部員十八人が感動して先輩を迎え、その後数日間練習も一緒に行った。

 

 森は右の本格派投手で最後の夏は準決勝で敗れたものの、華麗なフォームから投げる一四〇㌔余りの直球と鋭いスライダーが高く評価され、育成指名ながらロッテ入り。ドラフト頃に個人練習で左ヒザを故障し、入団してからも治療を続け本格的に練習に合流したのは七月頃で、九月の二軍戦で一回のみの登板で一年を終了。その後十一月台湾のウインターリーグに参加し台湾や韓国戦に七試合中継ぎで投げて、まずまずの成績を残した。沈むツーシームを身につけ投球の幅も増え、シーズン前は支配下に登録される事も十分期待されている。河野監督は「まだ一年が終わったばかり。あせらず充電してほしい」と笑顔。

 

 温水も右の本格派で最後の夏は三回戦で涙。九産大へ進学し福岡六大学代表で、二度大学選手権へコマを進めた。華々しい実績には届かず、大阪ガスへ入社して二年を終了。去年夏の都市対抗の優勝に大きく貢献。先発と抑えで二十回三分の一を投げ二十一の奪三振。 決勝でも八回途中まで力投した。一四八㌔の直球にシンカー、スピリットなど多彩な球種でプロからも注目された。同じくウインターリーグに、全日本社会人の一員として参加し、日本のイ・リーグとウ・リーグ戦など好投し、台湾、韓国のエースたちと互角に投げ合った。プロへの道のりは決して優しくないが、春先の小さな社会人大会、そして都市対抗戦は、推薦出場が決まっているが、昨年位の力投があれば、秋のドラフトでの指名は必至。プロ入りは夢だったため、正月は同学年だった中日の柳投手(二四)と酒を飲みながらいろいろな野球談話で一夜を過ごし、三日に大阪に戻った。

 

 森投手も二月に石垣島キャンプがあるため九日に上京した。都城は常々プロ選手が在籍していることで少年ファンの声は消えない。河野監督も「県民から注目される選手になってほしい」と二人にエールを送っている。

高校サッカー新人戦開幕

 高校サッカー新人戦は、二十三日から二十七日まで四十チームが出場し、上位二チームが、二月十六日から熊本開催の九州新人大会に出場する。今大会も会場がばらつきファンの不満は募っているが、準決勝と決勝は最終日都農町営陸上競技場で三試合、主会場の延岡市内は場所が取れず、西都や日章学園など七、八の会場で行われる。

 

 シードは旧年度の成績順で第一が日章学園。チームづくりの出遅れは否めないが、やはり強いのは現実。宮崎工、都城農が油断ならないが、準々で都城工が出てきそう。四強入りまでしっかりディフェンスを固めたい。

 

 第二の宮崎日大は延岡と対戦。次に妻戦、中盤に強力選手のいる宮崎北、または延岡工など強豪校がいる。今大会で頂点を取れば本県の縮図は変わりそうで宮崎日大のプレーは大いに気になる。

 

 第三シードの鵬翔は県リーグで日章学園Bチームより成績は下。根性と粘りで巻き返したい。FWの山本琉太(アリーバ)が中心で伝統のつないで前へ出るプレーで正月五日間の休日で猛練習を重ねた。六月から新チームになっている泉ヶ丘、都城西が顔を出す。準決勝まで、大宮、宮崎西の進学校と強化が進む宮崎第一、その後延岡学園と厳しい組み合わせ。万一早々の敗退があればいよいよファンは遠ざかる。全国制覇のプライドを思い出したい。

 

 第四の都城は佐土原が初戦。このパートはやや恵まれているが、日南学園が上がってきそう。

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